コラム

ボイトレで飲み込む力をつけて誤嚥予防!

ようこそボイスルへ!

ボイトレを身近な趣味に!を合言葉にボイトレに関係した記事を現役声優の私、宇和川恵美が実体験を交えてコラムにしています♪

声や顔の若返り 飲み込む力(嚥下)他、 少しでも日常生活の参考になれば幸いです。

今回はボイトレと嚥下(飲み込むこと)の関係について。

 

喉の筋肉と嚥下

突然ですが、人生で生死にかかわる筋肉、なんだと思いますか?

それは、心筋、肺の筋肉、そして喉の筋肉だそうです。

喉の役割は「呼吸」「発声」「嚥下(飲み込むこと)」です。

発声で使う筋肉(舌や声帯などの喉頭の周囲筋)は嚥下筋とも言われ、嚥下とも関連しているのです。

 

嚥下とは、食べ物を飲み込むこと。

ものを食べる仕組みとしては、摂食(口に食べ物を運ぶ)→咀嚼(噛む)→嚥下(飲み込む)の順に行います。

 

聞きなれない言葉が多く難しく感じるかも知れませんが、食べ物を体内に送り込む順序としては以下のような仕組みになっています。

  1. 食べ物を噛んで舌を上に押しあてて食べ物を食道へ(この時「軟口蓋」が上に上がり鼻に入るのを防ぐ)
  2. 舌が上がると、のど仏や周囲の喉頭が持ち上がり喉頭蓋が倒れて気管に食べ物が入らないようふさぐ
  3. 同時に声帯も食べ物が入らないよう気管をふさぐ
  4. 食道が上がってきて、そこに食べ物を送り込む

 

実は、食べ物は食道に流れていくのではなく、のど仏が上がった時、食道が上がってきて食べ物を迎えに行くのです。

逆に言うとのど仏(喉頭)がスムーズに動かないと食べ物は食道に入りません

つまり声帯や喉の筋肉は、嚥下に置いて重要な役割を果たしています。

嚥下機能が弱ると見られる症状

嚥下に関わる声帯や喉の筋力が落ちると、食べ物を飲み込むとき気管をピタッと閉じられなくなり、異物が入って「誤嚥性肺炎」の原因になります。

わたしの祖父もそうでしたが、誤嚥性肺炎は60代以降の喉の力が弱くなった人に発症しやすいとか。

若いうちは咳などで気管の中に異物が残らないように吐き出すことが出来るのですが、咳が出ない、むせない場合、食べ物が気管に入ってとどまってそこから感染していくそうです。

 

嚥下に関わる筋力が低下して見られる症状としては、例えば

  • 声の雰囲気が変わった
  • 食事中むせるようになった
  • 咳払いが増えた
  • 寝ていると急に咳込むようになった
  • 水が飲みにくい

など。

 

嚥下機能のトレーニングとボイトレ

発声のための喉筋トレーニング

よく嚥下にいいとされる、発声や口の動かし方、顔、口、首のマッサージやストレッチ、舌の鍛え方、早口言葉や歌などは、私がやってる喋るボイトレ(喋トレ)とかぶるところがあります。

滑舌のレッスンで口輪筋や舌を動かしたり、発声でのあくびのフォームや、身体を開く呼吸、そして声の高低。

一般的にお医者さんがおすすめてしている嚥下トレーニングは、しゃべるボイトレでやる発声や活舌の練習とすごく似ています。

まぁ、喉の筋肉は、声の筋肉なので当たり前かもですね(笑)

声帯閉鎖

さらにボイトレには声帯を意図的に閉じる「声帯閉鎖と言う訓練があります。

声優にお仕事で声を変える時は逆に喉を開いたりするのですが、この訓練は喉を動かすのにとても役立ちます。

のどの奥でしゃべる感覚で私は「口の中の口」と表現しています(笑)

喉の奥を開く感覚なのですが、筋肉も鍛えられるので誤嚥にも役立ちそうです。

声の老化と身体の老化

ちなみに歳を取ると声帯が委縮したり痩せたりむくんだり固くなって、かすれたりしわがれ声になったり通らなくなったりして声も老化します。

例えば女性はホルモンの関係で閉経後から声が低くなったり、男性は逆に声帯が委縮して声が高くなったり…

他にも首や喉の筋肉が衰えることによって色んな変化が起こるのですが、のど仏も下がるそうです。

のど仏(甲状軟骨)は筋肉や腱で吊るされて宙に浮いているので、筋肉が衰えると下がります。

のど仏が下がると気管を閉じるタイミングが遅れて隙間ができ誤嚥を起こしやすくなります。

つまり、声の老化は身体の老化のサインなのです。

声からの色んなサイン

身体は楽器なので、その楽器から出た音、声にはその人のコンディションが現れたりします。

滅多に食べない「菓子パン」を食べたことがバレたり、キャラのお仕事をしてきたことがわかったり、病気がわかったり。

身近なことでは寝不足や疲れがわかったり。

 

私も父の病気に声で気づきました。いつもより少しだけ声の輪郭が掠れていたので。

このように、声の変化・状態によって体調の変化に気づくことも出来ます

健全な声は健康な身体から。

声は健康のバロメータのひとつとも言えるのです。

まとめ

・生死にかかわる筋肉は心筋、肺の筋肉、喉の筋肉

・声帯や喉の筋肉は、嚥下に置いて重要な役割を果たしている

・嚥下に関わる声帯や喉の筋力が落ちると誤嚥性肺炎の原因になる

・嚥下トレーニングは、しゃべるボイトレでの発声や活舌の練習と似ている

・声の老化は身体の老化のサイン

・声は健康のバロメータのひとつ

 

参考文献

「声筋のすごい力」ワニブックス 渡邊雄介著

 

ABOUT ME
宇和川 恵美
青二プロダクション所属。声優、ナレーター、パーソナルボイスメンター。 声にコンプレックスを持ちながらも自信を持って現場に立ち続けられたのは『ボイトレ』の力があったから! 声を届ける側から『声を出す喜び』を伝えていきます。 『ボイトレ』はプロだけの特別なものではありません。 アンチエイジングや健康維持にも! 身近なボイトレをお届けします。
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