コラム

ボイトレを始めたい方へ

ようこそボイスルへ!

ここでは現役声優の私、宇和川恵美がボイトレと出会った経緯を、実体験を交えながらお話ししようと思います。

声や顔の若返り 飲み込む力(嚥下)他、 少しでも日常生活の参考になれば幸いです。

今回はボイトレの出会いについて。

 

声にコンプレックスがあった新人時代

わたしは声優を始めて25年以上になります。

アニメのデビュー作はスラムダンクの劇場版、テレビアニメのデビュー作はセーラームーンSuperS、そしてそのまま番組レギュラーをさせていただくことになりました。

番組レギュラーとは毎回何かしらエキストラの役で出演させていただくもので、女子高生や子ども他いろいろ演らせていただきました。

今だから言えるのですが実は私は当時、声が出にくいし立ち上がりにくいと言うコンプレックスを持っていました。

なのでお仕事の時は毎回4時間前に起きて発声をしてから臨んでました。

お仕事と言っても新人の頃のセリフは大抵一言二言。あとはみんなでしゃべるガヤ要員です。

 

アニメの収録はCMまでの前半と後半に分かれており、それぞれ一気にみんなで収録します。

不慣れもあるかもですが、緊張しながらその流れで一言二言しゃべるとどうしても裏返ったり噛んだりしてしまいそうになります。

しかも私には声が出にくいと言う気持ちがあり、前半冒頭の出番なら直前に咳払いなどして声を整えて臨めるのですが、最後の方の出番だと黙ってる時間に声が出なくなりそうでドキドキでした。

 

もちろん調子よく声が出ることもあって、それが物理的になのか気持ちからなのかわからなくて。

なので毎回4時間前に発声して臨んでたわけです。

演技に集中しないといけないのにそれ以前の問題です。

でもそのことは誰にも相談出来ませんでした。バレてしまうとお仕事が来なくなるかもしれませんし。

もちろん毎回OKをいただいているので自分だけが悩んでいただけの事なのかもしれません。

試行錯誤だましだましやってる内にマネージャーさんと話せるようになって少しだけそのことを相談したら、隣のスタジオが空いてるから始まるまで使っていいよと言われ直前まで発声させてもらったこともありました。

お仕事の日のルーティーンとしては、

朝起きると声がガサガサでハスキーで低く細い

お風呂に入って身体を起こす

暖かいものをのどに通して発声

のど飴なめて漢方舐める

ピーンとした声が出るよう咳払いをしながら意識する

といった具合でした(笑)

 

とにかく当時は演技以前に今出るベストな「声」をピークに持っていくのに必死でした。

 

 

知らなかった衝撃の出来事

だいぶ現場にも慣れ、少し自分の声のコントロールが出来るようになったある時、ふと声優のお友だちに「お仕事の時どうやって声を起こしてるの?」と聞いてみました。

すると聞いた人みんなが「朝起きて身体が起きたら声出るよ」と…。

衝撃でした。

発声しなくても身体が起きれば普通に声が出る⁉

これは何とかしないとと、ボイストレーニングを受けてみようと思い始めました。

 

 

ボイトレの師匠との出会い

ボイトレに行ってみたいと思っても、受けたことないのでどんなことをするのか、どこに行けばいいのか、どう選べばいいのかいいかもわからず動けずにいました。

当時近所に同期が住んでいてその話をしたら、たまたま近くのボイトレ教室の体験レッスンを受けたらしく、その先生を紹介してもらうことにしました。

その先生が私の師匠です。

まずは体験レッスンを受けてみて、こんな風にレッスンするんだとなんとなくわかったし、何より女性の先生でとても気が合いそうだったので、しばらく通ってみることにしました。

 

師匠のレッスンは発声のほか、ゴムのついたボタンや麺棒などを使ったり不思議な動きをしたり正直最初はよくわからず、言われるがままやってる感じでした。

それからしばらくボイトレに通いましたが特に変化もなく、こんなので声が出るようになるのか全く実感がわかず、いつにまにか

「ボイトレに通ってる私」と言う安心材料としての落としどころで通っていました(笑)

 

 

突然の気づき

それから数年後、色々な出会いがあって漫画家の葉月京先生と趣味で音楽ユニットを組むことになり、なぜかメインボーカルをする流れになってしまいました(笑)(この件はまたどこかで書きたいと思います)

言わずもがな 歌も大の苦手でカラオケ行ってもなるべく歌わず避けてたし、一生封印しようと思ってたのにまさか人前で歌うことになろうとは…。

何回かお仕事で歌ったことはあるけどキャラクターソングだったのでその時は表現重視で何とかなりました(笑)が今回はそうはいきません。

趣味とは言えライブとなるとお金をいただいて時間を割いて見に来てもらうわけなので、今までの惰性ではなく目的を見据えて、ボイトレの師匠に泣きつきながら必死に向き合いました。やると言った以上やれることはやらないと!(笑)

すると不思議なことに、なんとなく師匠の言ってることはこれかな?と言う感覚が少しずつわかってきました。

いや、それまでもこれかな?このことかな?と言うのはたまにあってそれがつながってきた感覚と言うか。

あとになって気づいたのは、レッスンは発声に必要な筋肉をトレーニングしてて、ちょうどその筋肉が使えるように育って来たタイミングだったんだなと。

振り返るとだいたい3年、5年7年10年あたりで気づきがあったような気がします。

同じ事務所の先輩も10年かかった(プロ仕様)と言っていたし。

もちろん10年でいきなりではなく徐々に改善していきます。

 

ボイトレは相性

東日本大震災のあと、師匠が渡米することになり、別の先生に見てもらうことになりました。

その先生はアイドルなど芸能関係も手掛けていてとても感じのいい先生だったのですが、なにか注意されたり理論的に教わるわけではなくゆるゆるとしていて少し物足りませんでした。

もちろん普通のレッスンはこんな感じだと思うのですが…。

他の人のボイトレのお話も聞いたことがあるのだけど、その先生が何を言いたいのか、どうしたいのかのか全くわからず(今ならこれを表現したかったのかな?と思うとこもあるけど)ボイトレには相性があるんだと思いました。

 

ボイトレの選び方

発声に必要な喉の筋肉は神経がつながっていないところもあって、普段からそこにあるのだけど自覚できません。

なのでイメージしながら声に必要な筋肉をトレーニングして行きます。

もちろん個人差があるので使える程度がちがいます。

(声優さんには初めからある程度筋肉が使える人が多い気がします。)

なので声が出るようにと言う目的は同じですが、先生によって表現が違うしレッスン方法も様々。

喉の筋肉を鍛えると言う人もいれば喉を緩めると言う人もいたり、首を鍛えると言う人がいれば唇を鍛えると言う人がいたり。

表現の違いや感じ方の違いがあるから当たり前なのかもしれません。だからこそ、一度体験をして自分に合う先生を見つけることをお勧めします。

続けるという意味では人間的な相性も大切です。

そう考えると、私の師匠は女性で割と理論派で研究熱心。

毎回授業の前に気づいたことや最近のマイブームなどの意見交換をしたりして、理数系大好きな私ととても合っていたと思います。

筋肉が出来るまではさすがに実感がなかったけど、だからこそ続けられたのかも知れません。

 

継続は力なり

「筋肉は一日にしてならず」

今なら先生が伝えたいのはこの感覚のことを言ってたんだとわかるし、続けてなければ筋肉が出来てきた頃に「気づき」があるとわからなかったと思います。

「継続は力なり」

途中で辞めないでコツコツ続けてきて本当に良かったです。

【まとめ】

・ボイトレは感覚を学ぶので先生との相性が大切。

・体験レッスンを受けてみましょう。

・ボイトレは声の筋肉の筋トレなのでコツコツ継続を!

ABOUT ME
宇和川 恵美
青二プロダクション所属。声優、ナレーター、パーソナルボイスメンター。 声にコンプレックスを持ちながらも自信を持って現場に立ち続けられたのは『ボイトレ』の力があったから! 声を届ける側から『声を出す喜び』を伝えていきます。 『ボイトレ』はプロだけの特別なものではありません。 アンチエイジングや健康維持にも! 身近なボイトレをお届けします。
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ボイトレ体験レッスン

普段使いの喋る為のボイトレ!初心者の方も歓迎です。

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まずは気軽に体験してみてください。

解剖発生学に基づいて理論的に説明するので、

体験だけでも発声のヒントになると思います!